只今「左官修行中」(10)どまどま
只今左官修行中・斎藤です。
みなさん「左官屋」と聞いて
どんな仕事をイメージしますか?
高い足場に乗って、颯爽と壁を塗っている。
私も最初、そんなかっこよい姿を想像していました。
今回ご紹介するのは「土間」仕上げ。
「土間(どま)」と聞くと、昔の日本家屋の玄関や
農家の作業場などの空間にあたる土を押し固めた場所・・・が一般的で、
木の板などが敷かれたいわゆる「床(ゆか)」に対して使われることが多い。
伝統的な左官の土間仕上げには、三和土(漆喰を塗り固めた床)、珪藻土、
コンクリート、タイル、などが用いられます。
八幡工業に入って驚いた!?のは「土間仕事」の重要性。
フラットに塗り仕上げるのが壁仕上げ、としたら
土間仕上げでは強度や水勾配(こうばい)の要素が絡んできます。
日々、人が歩いたり、重たい物がのっても大丈夫、しかも
水漏れなどのトラブルがおきないように丁寧に仕上げなくてならないのです。
私が通っていた足立の左官学校(職業能力開発センター)では、
生徒ひとりに畳一枚分ほどの壁が用意されていて「壁塗り」の実習は
随分勉強していましたが、「土間」に関しては残念ながらスペースの問題もあり
お話だけだったので、ほぼ実践の予備知識なしでした。
私が八幡工業で携わった「土間仕事」は、おもに店舗の施工現場が多く、
ひと月に数回、多いときは週に2回ということもありました。
特に防水処理を必要とする厨房内部、トイレなど水周りの空間は必ず、
場合によって駐車場、玄関ホール、客席などの広?い空間を仕上げることもあり、
そんなときには専門の「土間屋さん」とともに仕事することもあります。
さて、「土間仕事」の日は覚悟がいります。
壁塗り仕事の日に増して、体力気力の充実が求められます。
まず大量の材料を現場まで、いかに効率よく運ぶか!という課題。
とにかく砂&セメントの量がハンパじゃない!!!!!
通常、居酒屋チェーンなどの厨房ですと2立米?4立米(りゅうべい)の
モルタルを流し込みます。
ひとことで一立米は1立方メートル。
容積、キロは重量だから簡単には換算できませんが、水なら1トンですね。
1立米分のモルタルを作るためには、
25キロ入りセメントを20個と砂が土嚢袋でおよそ60個。
ですから、2トントラックに材料を山済みで出動!!となるのです。
現場によっては、事前に搬入をさせてもらえる場合もありますが、
なにせ「場所をとる・・・・」ので如何せん当日乗り込みということが多いです。
それでも、現場にエレベーターがあればハッピー???!!なのですが、
なければ「手運び」とあいなります。
私の経験では、3階まで階段で4立米(砂:240&セメント:80)
ということがありましたが、これはさすがに材料運びだけで午前中一杯。
さすがに終わったら腰もひざも全身ガックガクでした。
先に書いた「土間屋さん」は、土間仕上げに特化したプロ集団。
彼らの応援が入る現場では通常、生コンクリート車と圧送ポンプの機械がセットなので
材料運びの手間と時間は省略されますが、新規施工する現場に限られる。
ですので、現在営業中の施設や、ポンプを伸ばせないような小さな店舗などでは
おのずと「手運び」の確立が高くなるのです。
さて材料を運んだら、いよいよ本番!
生コン作り。
ここからははっきり言って『戦争』です。
「いかに材料の調合を均一」に、しかも「短時間で練り上げ」
「すばやく流し込むか!」に命をかけます。
土間打ちは、奥が深く、気が長い!?
というわけでつづきは
またの機会に・・・