コテで描く、種まきじいさんばあさん
今年2023年の梅雨明けはいっそう暑くなるそうですね。
定期的に行われる住宅メーカーの協議会で、繰り返し案内されたのでみなさま対策は万全に…!
弊社ショールーム内の天壁はスイス漆喰なのですが、調湿してくれているおかげか、この時季は外気より涼しく感じます。
その漆喰つながりで今回は、建設会社のオフィスに鏝絵をお納めしてきたので紹介したいと思います。
題材は、山形と秋田をまたがる鳥海山(ちょうかいさん)。
『日本百名山』のひとつに数えられている名峰です。
用いた漆喰は、無添加住宅の無添加しっくい。
壁面はすべてこちらを採用いただきました。
描くにあたって重要視してほしいとご要望いただいたのが、この”種まきじいさん”と“種まきばあさん“。
雪解けでこの雪形になるのがちょうど作物の種まき時期で、地元民はこれを指針に農作業をはじめるのだとか。
レーザーで水平垂直をとり、峰の輪郭を紙テープで引いていきます。
壁はすでに仕上がっているので、失敗は許されません。
写真を見ながら鉛筆で下書きをします。
線は消しゴムで消せるので、ここでは精密さよりも速さを優先させます。
全体を見渡して位置関係をチェック。
じいさんばあさんのほかに恐竜らしき雪形も発見しました…おわかりいただけただろうか。
以降はタニさんへ託し、二日後に覗いてみると…おー!できてるできてる。
元来の鏝絵と同様、着色ができない分、塗厚や凹凸を変化させて脈の陰影を表現したとのこと。
写真と比較すると確かに居るこの峰たち。さすがの観察眼です。
鏝のほかに刷毛やブラシを用いているあたりが造形もできる八幡工業らしい業。
特に苦労したところは?と伺うと、
「じいさんでもザウルスでもないキャラの濃い峰を、どう主張させすぎず、存在感を残すかの塩梅が~」
と笑いながら振り返っていました。
真正面から。
畑の畝は塗りたてでクリーム色がかっていますが、乾けばのちに白く、壁と溶け合います。
コンセプトである”呼吸する住宅“を一貫した取り組みをされている代表さまの思い入れある山でしたので、無事お納めできてほっとひと息。
漆喰と組み合わせている杉板含め、使用する材料はどれも国産で天然。
こだわりある空間づくりに携わることができました。
漆喰のほか、土間で三和土(たたき)を社長専務が施工しましたので、また別記事でお見せしたいと思います。
以上、先日八百屋のオーナーに「長ネギ似合わないねえ!」と言われたタ口でした。