2023.03.18 モルタル造形

左官で表現 杉板コンクリート調

 

浮造り(うづくり)、本実(ほんざね)の杉板を型枠とし、コンクリートを流し込む『杉板本実型枠コンクリート工法』。

 

壁面や外構で人気の仕様ですが、これを左官で表現した『型枠使わない工法』で納めた案件を紹介します。

 

(正式名ありましたら教えて下さい…!)

 

 

物件は東京都江戸川区、新築のリバーサイドマンションで、バルコニーからはスカイツリーが眺望できます。

 

 

納めたのはエントランス壁面(写真左手)とカウンターベンチ(写真右手)。

 

複数ある棟の中で唯一、左官が採用されています。

 

 

杉板本実といえば、板の模様や色味が転写されている暖色コンクリートのイメージ。

 

「その灰汁色リスクの一切をなくした杉板本実を左官で表現できるか」

 

というものが今回のご依頼の発端でした。

 

ウッドショックによる木材の供給不足も背景にあるのだと思います。

 

 

サンプルを提出するにあたり、まずは浮造り擬きをつくってみることに。

 

(機械がないので)炙り、炭となった夏目を払い、冬目を浮び上がらせます。

 

 

板目と柾目のリズム、流れの規則性をインプットします。

 

これをスタンプにできればよかったのですが、人力では上手くいかず今回は見送ることに。

 

 

最終的に選ばれたのは

・無彩色   ・Pコンなし

・木目浅め   ・板継ぎなし

の仕様でした。

 

 

いざアウトプット。上段から取り掛かります。

 

ルーバーで隠れていますが、実は上段にも施工していたのです………。

 

 

施工はタニと私タ口。

 

最近の造形や補修現場はこの二人で回っております。

 

 

板は縦割りで、本実の組み方を再現するのに一枚おきに塗っていきます。

 

弊社の塗り版築はこの方法ですね。

 

塗ったらすぐには彫刻せず、表面が締まってきたころに鏝を当てると滑らかに引けます。

 

 

鏝でアタリを引き、油絵のナイフなどを用いて浮造り特有の曲線を彫刻します。

 

木目を一本一本です。

 

 

二人で手(作画)が違うので、タワーを縦横無尽に昇降し片寄がないよう配慮しました。

 

まったく同じ木目の板はない、はず、です。

 

 

材料そのままの色は暖色寄りのグレーなので塗装で打ち消します。

 

手応えありましたが前述のとおりルーバーで隠れます。

 

 

設置直後。隙間からは覗けるみたいです。

 

ルーバーはアルミ板に木目シートを貼りつけた軽量タイプ。

 

 

つづいて下段では造形経験豊富なイサオさんが助っ人に。

 

即席の張り通しで両袖を塗ります。

 

 

彫刻したあとに擬木ブラシで優しく撫でています。

 

照明が当たると木目らしい柔らかな陰影が出ます。

 

 

忘れちゃならないカウンターベンチ。

 

 

のちに大理石天板が載せられシックな什器となりました。

 

割らずに載せてくださった石工さんに感謝です。

 

 

床タイルも貼られ引き渡し。

 

 

壁沿いにはソファとサイドテーブル、グリーンが置かれるとのこと。

 

アイリーン・グレイのソファあたりがマッチしそうです。

 

 

以下木目アップ。

 

 

 

 

 

今回は凹凸浅めの木目でしたが、くっきり深めの杉板彫刻にも挑戦してみたいですね。

 

ご依頼お待ちしております。

 

 

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