杉板ホンザネ補修 -ペイントver.-
木目調のコンクリート壁を見かけたことはあるでしょうか。
中にはこの壁のある建物にお住まい、もしくはお勤めのお方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは、浮造り(ウヅクリ)と本実(ホンザネ)の加工を施した杉板を型枠に、コンクリートを流し込む工法が用いられています。
今回はその補修案件を、入社当時ホンザネが読めなかったタ口がお届けいたします。
意匠性・施工難易度ともにハイランクとされるこの“杉板本実型枠コンクリート工法”。
杉板を外す際、どうしてもジャンカ(欠け)や剥がれが生じてしまいます。
八幡工業はそんな修繕補修を賜れる数少ない左官屋です。
今回ご依頼いただいたのはマンションの門柱。
事前にジャンカを埋めていただいた状態からパスされました。
所々というよりは面での施工が必要となりそうです。
裏面もぽつぽつ。
弧を描いたような不自然なラインと色ムラは要補修です。
補修方法は至ってシンプル。“描きます”。
浮造りの凹凸が穏やかで、肉付けの必要がない場合はペイント工法にします。
杉板の転写の具合により地肌の色が異なるため、その場で調色、再現。
黒、白、赤、黄の色があれば大抵の地肌は再現可能です。
地肌が整ったら浮造りの陰影を甦らせます。
板同士の境界、節の深さ、木目の段差をその場の直感で描いてゆきます。
仕上がりがこちら。
二月の北風が猛威をふるい、北面陽当たりゼロにつき乾燥が思うように進まず、まる一日かかりましたが納まりました。
無機質なコンクリートに温もりと高級感を与えてくれる杉板本実門柱の復活です。
アイアンのプレートが設置され、より一層様になります。
今日も住民さまゲストさまを見守ります。
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よろしければ過去のホンザネ補修ブログもご覧下さい。
https://www.yawata-sakan.com/blog/19663