町屋F邸のスイス漆喰リフォーム
只今 「左官修行中!」 斎藤Blogです。
今回はスイス漆喰を使ったリフォームのご紹介。
実は私が八幡工業に入職しようと思ったのも、
この「スイス漆喰に力を入れている」 と会社案内に
書かれていたのが興味を持つひとつのきっかけです。
会社におせわになって4ヶ月の間、何度かスイス漆喰の
現場に行く機会に恵まれましたが、なかなか一連の過程を
記録することができなかったのです。
このF邸では全体の流れを見ることが出来ましたので
ご報告させていただきます。
施工は10月にスタートし11月末に引渡しと2ヶ月ほどかかりました。
先日、完成したF邸を訪問してお施主さんであるお母さんと娘さんに
あらためてお話を伺いました。
荷物の整理も落ち着き、ようやく新しくなった家で数日間暮らしてみて、
開口一番「左官屋さんに頼んでよかったわ!」 と言っていただけたのが
なによりうれしかったです。
まず、工事前に比べ「お部屋がとっても暖かい」のだそうです。
今回内壁の左官塗り替えにあわせ、大工さんによるサッシの交換、
床板および天井の張替えが行われたので、家全体の保温性がアップした
のは間違いないのですが、
きっと室内の余分な湿気を吸着してくれるというスイス漆喰の特性と、
白い漆喰でお部屋全体が明るくなったので窓からの外光が
きれいに拡散して、住み心地の印象もがらりと変わったのでしょう。
そして「静かになった!」ともおしゃっていました。
また、化学的な匂いを気にするお母さんが心配していた、
新築にありがちな「いやな臭いがないのがうれしい!」という喜びの声。
工事中も可能な限りケミカルなものは使わず施工するように心がけて
きたのでやはりここでもスイス漆喰の臭いを吸着するという特性が
証明されたわけですね。
*板張りから上がスイス漆喰の壁、おちついたベージュ系の色合いで仕上げました。
では、施工の過程に沿ってご説明します。
工事した壁は、一階玄関と居間、廊下と階段、二階は洋室と和室の二部屋。
作業は、まず各部屋の繊維壁を剥がすことからはじめます。
施工前の壁の状態は、経年劣化で繊維壁特有のシミが目立ち、触るとボロボロと砂が剥がれ落ちる状態。
今回の主任職人、江端さんに聞くと高度成長期・昭和30年代ころはこの繊維壁が
流行していたそう。だれでも簡単に早く塗れて、塗りむらやゆがみも目立たなくて
重宝された材料なのだそうです。
*??? 階段上から撮影した写真、左が施工前、右がスイス漆喰施工後です。
この壁をすっきりさせる繊維壁専用の「カベトリン」を使います。
粉を水に溶きミキサーで攪拌するとゼリー状の材料に変化します。
これを鏝で直接壁に塗りつけていきます。
その後、スクレイパーで軽くこそぐと面白いほど気持ちよく剥がれてくれます。
落ちた古い壁材は湿っているので埃も立たず無臭、掃除も楽チンです。
壁がきれいになったところで、つぎは柱の汚れおとしです。
今回は臭いの少ない「ウッドマジック」を使いました。
2液性の溶剤を調合して刷毛でぬり、ペーパーたわしで擦ります。
仕上げにウェスでふき取ると、長年の汚れが取れ、木本来の姿が表われます。
*??? 刷毛ぬりするとすぐに汚れが浮き上がりました。中はスポンジたわし、右は洗浄後。
数日、壁が乾くのを待って灰汁(あく)止めのためのシーラーをローラー塗りします。
ここまでできたら、ようやく漆喰壁にとりかかれるというわけです。
というわけで、つづきは次回のおたのしみ。