2021.07.13 八幡の職人

左官屋、壁画を描く


 

 

 

雨でじめじめと蒸したり、晴れたと思ったらかんかんと照ったり、

マスクしていると尚のこと暑いですね。

 

今回は左官ではなく美術制作のお仕事をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

ご依頼をくださったのは都内マンションのオーナーさま。

複数お持ちの中の一棟に壁画を描いてくれないかとのことでした。

 

打ち合わせのために事務所へ赴くと重厚な門がお出迎え。

お庭の鯉や小型SLのコレクションは圧巻でした。

 

 

 

 

 

 

ご依頼のマンションもこれまた圧巻。

西洋のお屋敷を連想させる大空間が広がっていました。

 

 

 

 

 

 

こちらは1/10スケールでドローイングしたものを写真に合成したイメージ図。

ご依頼主へダイレクトにイメージ共有します。

 

壮大な富士山を見せて住民さまへ普段と異なる空気を届けたい。

そんなオーナーさまの想いから富士山を望む風景画がピックアップされました。

 

そんなオーナーさまのご要望は

・ほかの絵画と入れ替えができること

・壁タイルのダメージを少なくすること

・搬入出が大掛かりにならないこと

でした。

 

 

 

 

 

 

そしてこちらが決定案。

 

描画は壁ダイレクトではなく着脱可能なパネルにすることでフレキシブルに。

3×6板5枚構成にすることで作業の効率化と運搬コストの削減を図りました。

 

また、ビス留めによる取り付け方法にしたため額縁要らず。

文字通り枠に囚われないプランとなりました。

 

 

 

 

 

 

いざ、執筆。

 

オーナーさまのお計らいで同建物内のシアタールームをアトリエとしてお貸しくださいました。

 

まずは模造紙にコピックでアタリを引きます。

左官で言う墨出しの工程です。

 

 

 

 

 

 

A4サイズで空のグラデーション確認。

色を載せた面を裏にしたほうが透明度が高く、鮮やかになることに気づきます。

 

 

 

 

 

 

シーラー塗布後、太陽の位置を定め、奥の空を裏面から描きます。

下絵はここでは一旦無視します。

 

 

 

 

 

 

手前に来させたい色から載せていきます。

ひっくり返すまで自分がどう描いているのかわからないため、乾燥時間中は早く確認したい気持ちをぐっと堪えます。

 

 

 

 

 

 

色が載った面はマットに仕上がるため、富士山や雲海は表面から描くことにしました。

 

 

 

 

 

 

脈もしっかり通します。

裏面から描いた空と、表面の山とのテクスチャの違いが伝わるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

パネルの継ぎ目にズレが生じないところで立ててペイント。

雲海の工程では両面からスポンジでパタパタしました。

自ずと色数が増えるため、前後の距離を稼げます。

 

 

 

 

 

 

一番手前の山を描き込んで終了。

ゼロ距離でようやく見つけられる動物たちを忍ばせているのがポイントです。

 

 

 

 

 

 

迎えた設置施工日。

紹介元のクサマデンキさんと見守ります。

 

 

 

 

 

 

ビスは背景にあわせて着色。

シルバーのキャップが目立たないよう工夫しました。

 

 

 

 

 

 

設置は看板屋さんに依頼。

ウォールランプの光と重なった瞬間の透過具合はアクリルならでは。

 

 

 

 

 

 

そして設置完了。

秋色が映える山から望む、富士と朝日です。

 

 

 

 

 

 

玄関からの眺望。

パネルの切れ目が屏風絵を連想させ、ジャパニーズテイストがアクセントの空間と相成りました。

 

 

 

八幡工業ではイラストのお仕事もお受けします!

 

 


 

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